センター試験2017 解答・解説 英語第5問

第5問 

英文解説

 私(=ユウジ)がある朝起きると猫になっていて,台所に降りていくと人間のユウジがいた。人間のユウジはスマホに夢中で周りで起こっていることに無関心だった。母親に話しかけられてむっとするもののまたスマホの画面に視線は戻ってしまう。そんな人間のユウジを見て,猫である私は「こいつ(=人間のユウジ)はきらいだ」と思う。人間のユウジに存在を気づかれた猫のユウジは走って逃げて,自分の部屋の窓から飛び出す・・・。ベッドから落ちてユウジは夢から覚める。いつものようにスマホを持って部屋から出て行こうとするが,その手を止める。

問1 解答番号[42]

正解①

設問は「ユウジが猫になってしまったと気づいた時,彼は最初に・・・と感じた」。ユウジが体の異変を感じ始めたことは第2段後半に書かれている。はっきりと猫になったと書かれた文はないが,第3段第3文後半,「私は異なる生き物になってしまったようだった」とあるのでここで気づいたとわかる。したがって解答の根拠は次の第4文「私は驚いてしまって動けなかった」とあるので①astonished「驚いた」が正解である。

他の選択肢は②「恥ずかしかった」,③「わくわくした」,④「満足した」。

問2 解答番号[43]

正解②

設問は「ユウジの母親が彼に話しかけた時,彼はいらついた。なぜなら・・・」。ユウジの母親がユウジに話しかける場面は第7,8段落である。母親の,勉強してないじゃないのという問いかけに対して,第8段第2文前半では「いらつきの兆候が,ちょっとの間,(人間の)私の顔に現れた」と書かれているので,この前後の(人間の)ユウジの行動から考える。母親が話しかけるまでユウジはスマホに熱中しており,母親が話しかけることによって一時的にスマホから注意をそらしている。したがって,正解は②「彼女の言葉が彼の邪魔をした」が適切である。

他の選択肢は,①「彼が彼女を喜ばせたかった」,③「彼の口は食べ物でいっぱいだった」,④「彼女が彼の勉強を邪魔した」。

問3 解答番号[44]

正解④

設問は「“私はこいつが好きじゃない”猫は思った。なぜならユウジは・・・」。下線部があるのは第9段第1文。猫のユウジがこう思った理由は同段第4文「初めて,私は自分が他の人にどんなふうに見えているのかに気づいた」とある。ここからユウジが普段の自分の振る舞いを悔いていることが推測できる。したがって,正解は④「彼の周囲の人やモノに敬意を払っていない」が適切。

他の選択肢は,①「朝食で食べたものの味を思い出すことができなかった」,②「期末試験のために勉強しようとする努力を隠そうとした」,③「彼の将来に対する母親の心配を茶化した」。

問4 解答番号[45]

正解①

設問は「物語の最後で,ユウジはスマホを手に取らなかった。なぜなら彼は・・・」。彼がスマホを手に取るのをやめる場面は,第13段第7文「普段の朝の習慣のように,何も考えずに,私はスマホが満タンに充電されている机のところに歩き出したが,・・・やめた」である。chargeは「充電される/充電する」という意味なので,②の「それ(=スマホ)がまだ完全に充電されていないと気づいた」は不適切。普段の習慣のように,スマホを取らなかったということは,③「彼の古い優先事項を守りたかった」も不適切。stick to ~で「~に固執する,~をあくまでも守る」。④「彼の母親に叱られるのを恐れた」は本文から読み取れない。また問3で考えたように,ユウジは自分が他人にどう見られているのかに気づき,いままでの自分のいままでの振る舞いを後悔していた。したがって,①「自分の態度を改める時だと決心した」が適切である。

問5 解答番号[46]

正解②

設問は「この物語のテーマはなに」。①「猫は人間よりも感覚が優れている」は第4段第2文で言及されているが,本文のメインテーマではない。問3,4を踏まえると②「自分自身を観察することで自己変革に結びつけることができる」が適切である。③「スマホを使用する人々は奇妙に見える」。猫のユウジが,人間のユウジがスマホを使用する姿を観察する場面が第5段に書かれているが,本文のメインテーマではない。④「信じられない出来事が夢の中では起こりえる」は本文からは読み取れない。