酸っぱさの定量

[味の中和食定法]

今日は、酸っぱさを簡単に測定する方法をみなさんにお教えしたいと思います。ご自宅でも外出先でも簡単に測定できます。特別な器具は一切必要ありません。

 

まずは背景と原理から。

 

酸っぱさを定量的に評価することを考えるにあたり、今回僕が大事にしたことは

・簡便性

・新規性

の2点です。

 

また、僕は味についての知識が乏しかったので、はじめに少し調べておく必要がありました。調べた結果、味は、

甘味・酸味・塩味・苦味・旨味

の5つから構成されることがわかりました。

この5つの組み合わせや、痛みや温度や舌触りなどの刺激も加わって、5つ以外の辛みや渋みなどのすべての味覚が表せられるらしいです。

 

ここで、簡便性を達成するために、今回は基本の5つの味以外は無視することにしました。たとえば、レモン味は酸っぱさとレモンの香りが合わさった味ですが、今回は酸っぱさのみに注目する、といったようにです。

 

次に、新規性についてですが、0から発想するのは困難だと考え、既存の知見をもとに独自の方法を考案することにしました。

 そこで今回参考にしたのは、

 

「酸いも甘いも嚙分ける」

 

ということわざです。

このことわざから、酸性・アルカリ性と同様に、酸っぱさと甘さが表と裏の関係にあることがわかります。

さらに、ことわざは信頼できます。

 

以上のことから、甘さを利用して酸っぱさを定量的に噛み分ける方法を考案しました。

名付けて、「中和食定法」。

 

 

では、方法に移ります。

 

まず、酸っぱさを定量したいものを食べます。今はレモンを食べたとしましょう。

すると口の中が酸っぱくなります。

 

この状態で、甘いものを食べます。口の酸っぱさが和らぎますね。

 

甘いものを食べ進めていき、口の中の酸っぱさがちょうどなくなれば測定終了です。 

たとえば、おはぎ1つ→チョコレート2粒→みたらし団子1くし→飴玉1個

でちょうど酸っぱさがなくなれば、今食べたレモンの酸っぱさは「おはぎチョコチョコみたらし飴」です。正確で定量的なのがわかりますね。

 

注意すべき点は、甘さの異なる甘いものを数種類用意することと、一つ目に口にする甘いものは適度な甘さを選ぶことです。

 

甘いものを数種類用意していないと正確に酸っぱさを測定することはかないません。中和点付近は状態が不安定で、少しのミスで口の中が酸っぱいから甘いにジャンプしてしまうことがあるからです。ちょうど口の酸っぱさをなくならせるためには、適切な甘いものを選択しないとなりません。

 

一つ目に対象の酸っぱさを上回る甘いものを食べてしまうと取り返しがつきません。上皿天秤と同様の理由です。ある程度酸っぱさは予測しておくとよいでしょう。

 

以上のように、適切に食定を行えば、正確に酸っぱさを定量することができるでしょう。

 

 

最後に、味の中和食定法に関する、標準状態および標準状態変換について説明します。

 

標準状態の考え方は、酸っぱさを議論する上で非常に重要な考え方です。

 

同じレモンでも、食定する人が違えば値が異なります。「おはぎチョコチョコみたらし飴」のAさんもいれば「おはぎチョコ飴」のBさんもいます。同じ酸っぱさなのに、値だけ見るとまるで酸っぱさが異なるようにみえます。

 

これは、酸っぱさが正しく定量されていないのではなく、標準状態がAとBで異なっているだけです。このままでは酸っぱさをくらべることはできませんが、標準状態変換を行えば問題ありません。

 

食定に用いた甘いものの糖度を把握しておけば、標準状態のポテンシャルを絶対的に評価することができるので、あとは係数計算をするだけで標準状態変換をすることができます。

 

「おはぎチョコチョコみたらし飴」から標準状態Aのポテンシャルが13.2と計算できたとします。一方、「おはぎチョコ飴」から標準状態Bのポテンシャルは8.2と計算できたとします。そうすると、AからBへの標準状態変換は、係数8.2/13.2をかければよいと分かりますね。

 

 

味の中和食定法について詳しく説明してみましたが、どうでしたか?

興味を持たれた方は、ぜひ試してみてください。みなさんのレポートお待ちしています。